現在、私は「カスタムシューター」というゲームを開発中である。
このゲームはスマホ向けの縦スクロール2Dシューティングゲームで、自機を操作するコントローラーをプレイヤーが自由に作る、という独自の仕組みを持っている。
このゲームを作ろうと思い始めたのは2020年10月のことで、前作「TAXI in the RAIN」をリリースしたすぐ後だ。
どうして私がこのようなゲームを作ろうと思ったのか、という話をしてみようと思う。
スマートフォンでしかできないゲーム表現
じつはこの話は過去に、「もくもく会」という個人ゲーム開発者が集まる会でLTとして発表したことが既にある。
以下がその時のスライドだ。
このスライドにある通り、「スマートフォンでしかできないゲームとは何か」を考えていて、その結論として「コントローラーが自由である」ということを思いついたところから発想が始まっている。
コンシューマーゲーム機によるゲームは、ゲーム性がどうしても備え付けのコントローラーの機能と形状に大きく影響されてしまう。左側にスティックや十字ボタン、右側にスティックといくつかのボタン、その他中央や上面にボタンがある、というのがゲームコントローラーのデファクトスタンダートになっているので、そのようなコントローラーで操作することがゲーム制作の大前提になってしまうのだ。
しかしスマホ向けゲームはそうではない。そもそもスマホにはコントローラーなど存在しないので、ゲームをどうやって動かすかは自由に検討することができる。
この「どう動かすか検討する」ということを、そのまま遊びとしてプレイヤーに提供できないか?というのが、コントローラーをカスタマイズするシューティングゲームの発想の起点だったのだ。
なぜシューティングゲームなのか?
ではなぜ、操作する対象となるゲームを2Dシューティングゲームにしたのかというと、それは2Dシューティングゲームがゲームとしてオーソドックスだったからに過ぎない。ルールも作り方も良い意味で枯れていて、新たに考えるべき事項がそんなに多くないからだ。
このゲームでは「プレイヤーが自分で操作するコントローラーを作る」というところに最大のゲーム性があり、思考のリソースの多くをここに割くことになる。このうえで、操作対象となるゲームそのものまで独特で新規性の高いルールや仕組みを持っていたのでは、あまりにも考えることが多くなりすぎてプレイヤーが付いてこられなくなるのではないかと思ったのだ。
もちろん制作上の理由として、制作ノウハウが多く公開されていて作るのが比較的簡単だというのもある(それでも大変は大変だが)。
つまり、私がこのゲームを2Dシューティングゲームとしたのは、表現したいことの性質上これが適切だろうという判断の結果に過ぎないということである。
2Dシューティングゲームが好きだから2Dシューティングを作っているわけではないということなのだ。
どちらかというと私はあまり積極的に2Dシューティングをプレイしない傾向にある。
子供の頃「ゼビウス」「グラディウス」「ツインビー」くらいは触れたことがあるが、実はクリアできたことが一度もない。2Dシューティングに良い思い出が得られず、そのせいで新作が出てもあまり心を惹かれることがないのだろう。
とはいえこのジャンルは数あるゲームの中でも基礎中の基礎ではある。ゲームを個人で開発しようというほど執着している私が、全く見ないフリをして良いジャンルとも思えないという罪悪感が多少あった。
そこでカスタムシューターの開発においては、「なぜ私が2Dシューティングをプレイしないのか?」という理由に焦点を当てて考え、逆に「どうなっていれば私のような者でもプレイしたいと思うのか?」という方向に発展させた。
そしてそのような2Dシューティングを作ってみようという、新たな開発上のテーマにチャレンジしてみることになったのである。
以下、私が比較的最近やった2Dシューティングゲーム
話が長くなりそうなので、カスタムシューターが具体的にどういう方針で作られているかの話はまたの機会にして、私が比較的最近やった2Dシューティングゲームの紹介をして終わりたい。
いずれも完全なクリアには至っていない……。私が下手なだけだが、こんな私でもクリアできるシューティングゲーム、がカスタムシューターの目指すところではある。
こういうエゴイスティックな理由でゲームを作れるのも個人開発の良いところだ。