東京ゲームダンジョン出展

東京ゲームダンジョン E-07ブースの様子

2022/08/06(日)、現在開発中のゲーム「カスタムシューター」をインディーゲーム展示イベント「東京ゲームダンジョン」にて出展した。

東京ゲームダンジョンについての詳細な情報はこちらのサイトをどうぞ。

ゲーム展示イベントへの忌避感

そもそも私、こういったゲーム展示イベントは苦手だったのだ。

ゲームそのものは大好きなので、例えば世界的にも代表的なゲームイベントである東京ゲームショウには来場したことがある。一般・ビジネス両方でだ。しかし実際に来場してみると、どの列へ並ぶでもなく、どのブースでゲームを楽しむでもなく、ただ雰囲気を眺めながら会場を徘徊することしかできなかった。
そもそも東京ゲームショウに大々的に出展しているようなビッグタイトルなどは展示を見るまでもなく既に情報を押さえているのだ。新しい情報が出てこないのであれば、わざわざ長蛇の列に並ぶ必要性を感じないのである。プレイアブルに関しても、大体公開されている情報で購入するかしないか検討してしまい、やりたいと思うゲームは買うので、これも列に並んでまで現地でプレイしたいと思わなかった。
(書いていて思ったが、『列に並んで待つのがキライ』という性格も災いしているだろう)

唯一、東京ゲームショウで思い出深いのは「ピッコロゲームス」というイタリアから来た個人開発者との出会いである。「サラリーマン」と題されたゲームが展示されていた。
最初は英語のみを話す女性から説明を受けたのだが、理解できたのが「Tanaka-san is ghost.(田中さんは幽霊です)」だけであったため、成仏叶わぬ田中さんの無念を案じたものだ。その後、日本語も話せる開発者とおぼしき男性からきちんとゲーム内容の説明を受け、記念写真を撮影させて頂いた。彼は今も元気だろうか。

これが幽霊になった田中さんだ!!!

同様に日本のインディーゲームの展示会であるデジゲー博も来場したことがある。こちらはゲームを出展していた友人のブースを訪れるという目的があったが、それ以外のブースに関しては特に何をするでもなく雰囲気だけ楽しんで帰ってしまった。

……これ、出展している皆様からしたら大変失礼な話である。どうせ行っても楽しめないのならば、そもそもイベントになぞ行くべきではないのだ。

しかし、ふと思った。お客様気分だから楽しめないのではないだろうか?
来場側ではなく出展側としての参加ならばどうだろう?

こちとらもう数年はゲームを作っている人間だ。それも仕事ではなく、好きで作っているのである。ゲームを作るということは、楽しみを作るということだ。ゲームを開始して、操作して、問題に遭遇して、それを解決するユーザの気持ちになって、プレイヤーキャラや敵キャラ、課題、操作のためのボタン、情報類をどう配置するか考える。そこに楽しみを見出して作り続けている。

出展ブースを作る、というのもこの考え方の応用で楽しむことができるのではないか?
いや、この時点で「ないか?」など検討の段階ではなく、既に「できるだろう」という確信めいたものがあった。

そんなことを考えていたところ、ゲーム開発関連で知り合いいろいろとお話をさせて頂く方が「自らゲーム出展イベントを開催する」と仰ったのだ。
「とりあえず箱をおさえました」と聞いた時は耳を疑ったものだ。

それが東京ゲームダンジョンだったのである。

そして出展へ

結論から言うと大変楽しませて頂いた。
やはり私は、おもてなしを受ける側が性に合わないだけだったようだ。

もうイベント開催前からアイデアが湧いてきて仕方ない。
使える表示領域は180x90cmのテーブルの上。最大の目的であるカスタムシューターのデモバージョンを来場者にプレイして頂くにあたって、デバイスや説明用資料、ポスターなどの配置を導線に合わせて考えていく。実際にデモ機を手に取る高さ、所持している可能性が高いであろう手荷物やフライヤー類の一時置き場所、感染症対策など、検討すべき事項は様々だ。

また私のブースでは上記のゲームだけでなく、UnityRoomに公開済みのブラウザで遊べるゲームも展示し、その場で遊んで頂けるようにしようと考えた。これは出展の目的を考えると必須要件ではないが、もともと私が所有している機材で容易に展開可能だったことから、実現に至ったアイデアだ。

このブースで何を提供するのか?そのために必要なオブジェクトは何か?ユーザが実際にどのように動くのか?その際の障害は何か?

この問題はゲーム開発と全く同じである。楽しいに決まっている。

出展当日も、私はゲームの宣伝をするという体裁で、ブースを運営するという遊びをしていたという感覚が強い。以下の画像を見てもらえれば分かってもらえるのではないだろうか。

東京ゲームダンジョン E-07ブースの様子
当日のブースの展示(E-07)

出展当日も、ブースに来ていただいたお客様には概ね良い反応を頂いたと思う。
「ゲームがリリースされたら絶対遊びます」なんて言ってくれた方もいた。ありがとうございます!

私は結構な人見知りであまり初対面の方と打ち解けない性格がある一方、こういったパフォーマンスが必要な際は別人格を演じるようなことが可能だったりする。店員としてそれなりに気分の良い接客ができていたのではないだろうか?(そうでなかったらごめんなさい)

実際にいる

このイベントに参加して良かったのは、私のゲームを楽しいと思ってもらえる方が「実際にいる」と確認できたことだと思う。

今まではとにかく作ってリリースして、ストアにレビューが付いていたら読む、くらいだったので、本当に自分が作ったゲームを楽しんでくれる人がいるのか実感として分からなかった。
たとえ誰一人プレイしていなくても、自分は作るのだという決意のもとゲームを作っていた。

ただ、もし本当に誰もプレイしていないのなら、それはリリースされなくても影響がないということだ。もし本当にイヤになったら開発の手を止めてしまっても困る人間は誰もいない。

しかし実際に自分のゲームを楽しんでくれる人を目の当たりにしてしまうと、そうは行かなくなる。
もし自分がこのゲームの開発を止めてしまったら、楽しみにしていたゲームがリリースされない不幸を味わう人間が1人確実に生まれることになるのだ。
その喪失感は私にも経験がある。できることならばそんな不幸は起こしたくない。

そういう気持ちが、私にエディタを開かせる。
個人ゲーム開発は自分との闘いだ。止めるのはいつでもできる。

今回のイベント出展で、開発を止めない理由を1つもらった気がする。

作ったフライヤー
フライヤーを見て「どういうゲームか分からなかったので来ました」という人がいた。全くだ

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